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リクライニング声掛け論争!業界統一のマナー提示を!

2024.06.17 加筆・修正、写真追加をしました。

 

1.永遠のループ?リクライニング声掛け論争!

ネットの記事でよく出るこの話題!

diamond.jp

 

近年、乗り物のリクライニングシートを倒すときは「後ろの人の許可を得て倒す」という「謎マナー」が語られることが増えてきたように思う。誰がいつから言い始めたことなのか不思議である。

個人的な実感としては声を掛けられたことはほんの数回だけ。多くの人は黙って静かに倒している印象で、地域性もあるのかも知れないがネットで言われているほど「謎マナー」が浸透している実感はない。

 

そもそもリクライニングシートは座席の機能であり、それを使うか使わないかはその席に座る人に決める権利があるべきと思うのだが、状況によっては倒されると後ろの人が不快になる事があるのも事実である。

後ろに人がいるときは静かに、そして深く倒し過ぎないように気配りができればいいのだが、それができない人が増えてきたのか、リクライニングを巡って乗客同士のトラブルも起きているようである。

 

国内線航空機の普通席で「倒してもいいですか?」と声を掛けられたことがあった。面倒なので寝たふりをしていたら、さらに大きな声で呼ばれたので仕方なく「私に断る権利はないと思うのでお好きにどうぞ」と答えたら一杯まで倒してきた。

国内線普通席は狭いので、できれば倒してほしくないのが本音だが、倒れる機能がある以上、拒否はできまい。許可を得たのだから相手が不快になるまで倒して良いと考えるような人とはあまりかかわらない方が安全、運が悪かったと諦めるしかない。

移動中の座席で寝ていたり食事をしていたり、寛いでいるところわざわざ声をかけないでほしいし、特にマスクを着用していない他人と不必要な会話はしたくないのではっきり言って迷惑である。倒すなら黙ってゆっくりと倒してほしいと思う。

しかし許可を得ずに倒すことに不快感を覚える人もいるようなのでこの問題の議論は永遠のループで結論が出ていない。

 

「後ろの人の許可を得て倒す」が正しいマナーであると仮定すると、前の席の人へリクライニングを許可して倒されたあと、自身も倒そうと後ろの人に声を掛けて拒否されてしまったら自分だけ苦しい姿勢で移動時間を耐えなければならなくなり理不尽極まりない。公平にするためには「全員が倒す」か「全員が倒さない」かのどちらかである。

旧ツアー系の夜行バスでは消灯になると全員に一杯までリクライニングするように乗務員から指示されるそうで、とても公平でよく考えられていると思う。

また、私が旅行会社のバスツアーに参加したときは添乗員から「お願いレベル」ではなく明確に「リクライニング禁止」の指示があり、11列のシートピッチが狭い観光バスだったが、比較的快適に過ごす事ができた。東京から富山への長距離のツアーだったので、もし前の席の乗客が倒してきたらと思うとぞっとする。

vipliner.biz

 

ところが、多くの運行会社では「リクライニングを使用する際は後ろのお客様にご配慮を」のようにグレーな表現で明言を避けている。この「配慮」とは

  • 倒すと宣言してから倒す事なのか?
  • 倒す許可を得る事なのか?
  • 後ろを確認して静かにゆっくり倒す事なのか?
  • 深く倒さず浅くして遠慮する事なのか?

が全くわからない。人それぞれ、「配慮」への価値観が異なるのである。

運行会社側がそれを明言しないので各々が全く異なる価値観に基づいた「常識」や「マナー」を好き勝手に主張して、かえって混乱しているのが現状なのである。

 

 

2.リクライニングシートにも色々ある!

「リクライニングシート」といっても利用する乗り物の種類や運行時間によって一括りにすることは困難であろう。1時間程度の空港リムジンバスと、長距離国際線航空機のエコノミーを同列で語るのは無理がある。

 

そこで乗り物の種類によってどうあるべきか考えてみたい。私の基本的な考え方は「声掛けは不要、後ろに人がいる場合は原則倒さないが、新幹線のように少し倒さないと姿勢が辛い座席の場合は後ろの人が不快にならない程度に少しだけ静かに倒す」という立場なのでその前提で述べていきたい。

 

①航空機の場合

航空機のエコノミー(普通席)ではリクライニングを倒されるとかなりの圧迫感がある。離着陸時は倒せないルールなので国内線なら水平飛行で倒せる時間は僅かなもの。それで倒す必要性は感じられないので国内線はリクライニング禁止、できればリクライニングできないよう固定してほしい。

長距離国際線で就寝する場合は倒さないと辛いので消灯時刻までは禁止として、消灯後は全員リクライニング可として倒したい人は声掛けはせず、ゆっくり倒すように呼びかければ良いと思う。

 

②新幹線の場合(普通席)

新幹線の普通席は3列席を回転させるために、倒さずに座るには辛い角度となっていて少し倒して座る前提である。それなのにいちいち後ろの人に許可を得る「謎マナー」は合理的ではないし、もし倒す事を拒否されたら悲惨だ。

しかし一杯まで倒されると後ろの人が不快に感じるほど深く倒れるものも事実である。それなら不快にならない程に浅くしか倒れないように改造し、声掛けなしでゆっくり倒すよう呼びかけると良いのではないか。

写真の真ん中の席は座席を回転させるため特に背もたれの角度が急になっている。これを倒さずに座るのは厳しい!

 

③在来線の特急列車の場合

在来線の特急の普通車では基本的にリクライニングの機能は不要と考える。座席の回転に支障がない程度に、やや倒した状態でリクライニング機能を固定したら良い。

またはJR九州の「白いかもめ」のように少し倒さないと辛い姿勢のものもあるので後ろが不快にならない程度に浅くしか倒れないように改造してゆっくり倒すように呼びかければ良い。

国鉄時代の特急列車にあったリクライニングしない「回転クロスシート」これなら公平である。(大宮鉄道博物館)

快速や普通列車の一部に設置されている「転換クロスシート」(背もたれを動かして座席の向きを変える)だとリクライニングできないので良いのかも知れないが、テーブルやドリンクホルダーの設置が難しい。初期の新幹線0系の普通車は転換クロスだったのだが、現代では優等列車への設置はサービスダウンと思われるかも?

0系新幹線の転換クロスシート(リニア鉄道館にて)

 

④高速バスの場合

昼行の高速バスや空港リムジンバスではシートピッチが狭いものもあり、座席を倒すと後ろの人が不快に感じるのでリクライニング機能は固定したほうが良い。

シートピッチに余裕がある長距離路線の場合は、後ろの人が不快にならない程度の浅いリクライニングに改造、声掛けなしでゆっくり倒せば良い。

いっぽう、夜行の高速バスでは旧ツアー系のバスのように消灯後は全員リクライニング可とするように決めたら良いと思う。ただ、これを導入しているバス会社は少ないので何かデメリットがあるのかも知れない。

2階建ての頃の「はかた」号のプレミアム席に乗車した際、消灯前の休憩で後ろの下位クラスの人が下車しているときに一杯まで倒したら後から文句を言われたことがある。プレミアム席は一杯まで倒してこそ、寝返りが打てる座席として設計されていたのに・・・!夜行バスの客層を考え、面倒な人とかかわりたくないので我慢したが、それ以来夜行バスを利用しなくなった。

 

3.画期的なバックシェルシート

近鉄特急の「ひのとり」や新幹線の「グランクラス」ではリクライニングしても後ろの席に干渉しない「バックシェルシート」というものを導入。気兼ねなくリクライニングを倒して寛げると好評だという。

ただ、これを導入するには大きなコストがかかり、またシートピッチも大きくなるので定員が減って減収になるデメリットもある。航空機や列車の「普通席クラス」への導入は現実的ではないと思う。

グリーン車などの上位クラスの座席にはバックシェルシートが普及することを願っている。

近鉄特急「ひのとり」レギュラーシート

北陸新幹線 グランクラス

 

4.まとめ:業界で統一したマナーを!

大型連休や夏休み等、交通機関を利用する人が多くなる時期になると必ずネットを賑わせるこの話題。せっかく運行会社が乗客に寛いでもらいたいと設置したリクライニングシートが乗客同士のトラブルや不快感の原因となれば本末転倒である。

リクライニングの機能を固定または後ろが不快にならない程度に縮小して一気に倒すのではなく静かにゆっくり倒す事で「声を掛けて許可を得る」という面倒な「謎マナー」は不必要なのではないだろうか。国内線航空機や空港リムジンバスのようなシートピッチが狭い座席にはトラブルの原因となり得るリクライニング機能はない方が良いと考える。

下の写真は稚内から利尻島・礼文島を結ぶハートランドフェリー「アマポーラ宗谷」の2等指定席。リクライニング機能はないが、昼間のみ、短時間の乗船なので十分に快適である。

リクライニングのマナー論争、そろそろ乗客同士の異なる価値観に任せて放置するのではなく、運行会社側で、できれば運輸業界で統一したマナーやルールを決めてほしいと切に願うものである。