- ’10時打ち’とは?
- ’10時打ち’が必要な列車は?
- ’10時打ち’の方法は?廃止も!
- 「サンライズ出雲・瀬戸」の傾向は?
- 申込用紙は丁寧に書こう!
- ’10時打ち’に挑戦しました!
- ’10時打ち’の結果は?
- ’10時打ち’失敗例
- 対策は口数を増やすしかない!
- ’10時打ち’で負けても諦めるな!
- まとめ:’10時打ち’を旅の一単位として楽しもう!
’10時打ち’とは?
JRの指定席券は乗車日の1か月前の午前10時から全国一斉に開始されます。人気の列車や個室は発売開始直後に完売となるため、10時ぴったりに予約を取ることを鉄道ファンは’10時打ち’と呼んでいます。
駅のみどりの窓口(JR東海ではJR全線きっぷうりば)で10時前にあらかじめ’マルス’と呼ばれる端末に情報を入力してもらい、10時00分00秒の時報で送信してもらいます。
’10時打ち’が必要な列車は?
夜行列車が激減し、たいていの列車がネットで予約できるようになった今日、’10時打ち’でないと取り難い列車は限られてきています。
- 寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」の「デラックスシングル」「サンライズツイン」
- 「WEST EXPRESS銀河」の個室、グリーン
- 各地の観光列車で座席数の少ないもの、鉄道ファン向けの臨時列車・・・等
これらの列車のなかにはJR東日本の「えきねっと」やJR西日本の「e5489」等でネット予約に対応しているものもありますが、席の確保まで頑張っても1分程度はかかるので窓口にほぼ負けます。駅のみどりの窓口(JR東海はJR全線きっぷうりば)を利用することを強くお勧めします。
’10時打ち’の方法は?廃止も!
まず、'10時打ち’の方法は駅によって扱いが全く異なります。
そして残念な事実ですが、近年のみどりの窓口の閉鎖や混雑激化に伴い、’10時打ち’の依頼を受け付けないという駅が急増しています。
この場合「シングルデラックス」や「サンライズツイン」、他の個室でも金曜日の下りの確保は極めて困難なので、他の駅を探す事をお勧めします。大都市だとかなり遠くまで出かける必要があるかも知れません。’10時打ち’を行ってくれる駅を探して方法を把握することが最初の試練です。
概ね、次のようなパターンがあります。
パターン①
’10時打ち’専用レーンが用意されていて早朝から並び、10時少し前に駅員さんが希望を書いた申込用紙を回収、端末に情報を入力してくれ、10時丁度に発信してくれます。大都市の大きな駅に多いパターンです。
→早朝から長時間並ぶ必要があり、体力的に辛いです。
パターン②
窓口のオープン以降に’10時打ち’の申込用紙を預かってくれ、一旦窓口を離れることができ、10時又は指定された時刻までに窓口で受け取ります。
→利用者の立場としては大変ありがたいルールで、以前はこのパターンが多かったのですが、預かりを廃止する駅が急増しています。
パターン③
’10時打ち’のためのルールが存在せず、窓口に10時少し前に順番が来るように(順番を譲るとかして)調整しながら並びます。
→タイミングが非常に難しいです。早すぎると断られる(並び直し、10時になってから来るように言われる等)リスクも。
「サンライズ出雲・瀬戸」の傾向は?
- 「瀬戸」よりも「出雲」の方が人気(=競争率)が高い。
- 上り(東京行)よりも下り(東京発)の方が人気が高い。
- 「喫煙」よりも「禁煙」の方が人気が高い。
- 「サンライズツイン」と「シングルデラックス」はほとんどが瞬殺。
- 「シングル」「ソロ」は’10時打ち’なら取れる確率が高い。ネット予約でも取れる場合が多い。
- 「のびのび座席」は空席がある事が多い。
- 週末に近付くほど競争率が高く、金曜の下りが最も難しい。
という事を考慮して乗車日を決めました。狙いは冬季の平日、下りの「サンライズ出雲」に決定。
申込用紙は丁寧に書こう!
'10時打ち’を依頼する場合、駅に備え付けの申込用紙を記入する必要があります。これは就職試験の履歴書、入学試験の願書のようなものです。乱暴に書くのではなく、駅員さんにわかりやすいよう、そして情熱が伝わるよう、丁寧に書くことをお勧めします。
記入上のポイント
①乗車券の項目ですが、呑み鉄たこちゃんは基本的に乗車券は乗車当日に買うようにしています。(キャンセルする場合、手数料が余分にかかるから。)
この場合、申込用紙にぶっきらぼうに「不要」とか「×」を書くのではなく、「乗車券は不要です」と丁寧に書くようにしています。
②難しい読み方の地名や列車名には読み仮名を付けています。難しい漢字でなくても、地名の読み方は案外難しいもので、駅員さんが一発で読めなければ調べる手間が発生します。その手間を省けるように配慮しています。
③列車名はわかるならマルス端末に入っている列車名を記入します。例えば、「サンライズ出雲」のサンライズツインの場合、端末で列車名「サンライズ出雲」を選択するとダメ。「サンライズ出雲サツイン」という列車名が正解です。
④列車名で「のぞみ8号」のように号数を書く欄は、「サンライズ出雲」のように号数がない列車は「上り」か「下り」を記入しています。端末で入力が必要なのですが、北日本の駅で西日本の列車を取るような場合、間違える可能性があるからです。
⑤遠く離れた地域の列車を申し込む場合、駅員さんは詳しくなくても当たり前と考え、余分な手間をかけないよう記入するのがポイントです。駅員さんだって人間です。乱暴に書かれたものより情熱の伝わる申込用紙の方が最善を尽くしてくれるのではないでしょうか?丁寧、親切に記入することが’10時打ち’に成功する確率を向上させると考えています。
’10時打ち’に挑戦しました!
呑み鉄たこちゃんは寝台特急「サンライズ出雲」のA寝台個室シングルデラックスを求めて’10時打ち’に挑戦しました。
’10時打ち’当日は妻と2人で行動しました。具体的な駅名は伏せさせて頂きます。
A駅(大きな駅)
早朝の窓口オープンに合わせて電車に乗って移動し、申込用紙を預けました。この駅では10時に窓口に居る必要はなく、当日13時までに窓口へ来て受け取るルールでした。
駅周辺に勤務先があるような場合、出勤前に預けて昼休みに取りに行くこともできます。(おそらく、そのための配慮でしょう。)
第2希望は他に’10時打ち’希望者が居たらその人の後で打つと説明がありました。
また、この駅は’10時打ち’の場合、座席位置の希望は「窓側」「通路側」の他は受け付けないルールでした。
- 第1希望 シングルデラックス禁煙
- 第2希望 シングル禁煙
B駅
A駅に申し込み用紙を出した後、自宅に近いB駅へ移動して窓口オープン直後に申込用紙を預け、一旦帰宅しました。
この駅は10時に窓口付近で待機が必要で10時過ぎたら受け取るルールでした。
申込用紙を見た駅員さんは「号車や部屋位置の希望はありますか?」と聞いてくれましたが、部屋を選んでいる余裕はないので「どこでも大丈夫です。取るのを優先でお願いします。」と返しました。
- 第1希望 シングルデラックス禁煙
- 第2希望 ソロ禁煙
C駅
妻が買い物のついでに電車でC駅へ行き、9時30分頃申込用紙を提出しました。
駅員さんは用紙を見ながらスムーズに端末を操作して「1番で承りました。」と返されたそうです。
この駅もB駅と同じで10時に窓口付近に居る必要があるので妻がそのまま待機しました。
喫煙は嫌ですが確率を上げるためにあえて希望してみました。
- 第1希望 シングルデラックス喫煙
- 第2希望 シングル禁煙
’10時打ち’の結果は?
B駅
10時少し前に窓口付近で待機しました。3分ぐらい前に1つしかない窓口を「しばらくお待ちください」の札を架けて閉鎖。電話で時報を流しながら打ってくれました。
閉鎖された窓口の戸をドンドンと叩いて何か言う高齢者にヒヤヒヤしましたが、上手くかわして打ってくれました。
シングルデラックス禁煙確保!
A駅
B駅から電車でA駅へ移動。窓口は長蛇の列でしたが10分ぐらい並んで順番が来ました。
シングル禁煙確保!1階席でしたがやむを得ません。
C駅
5分ぐらい前にB駅同様に窓口を閉鎖して打ってくれました。やはり何人か窓口に来て何か言う人が居てヒヤヒヤしたそうです。
シングルデラックス喫煙確保!
シングルデラックスが2室も取れて大成功と言えます!こんなにうまくいくとは思いませんでした。大都市部ではみどりの窓口の閉鎖や10時打ちお断りが増えているなか、競争率が高くない地方で挑戦したのが幸運だったと思います。
実はシングルデラックス1室とシングルかソロを取って夫婦で行く予定でしたが、シングルデラックスが2室も取れたので親族を誘って3人で乗ることになりました。こんな幸運はもうないかも知れません。
’10時打ち’失敗例
今回は’10時打ち’大成功の成果でしたが、過去には悲しい思いをしたことが多々あります。
①駅員のスキル不足!
新幹線が停車する大きな駅で’10時打ち’パターン③の駅。夫婦で「サンライズツイン」の禁煙と喫煙で分けて並び、2人ともうまく10時少し前に順番が来ました。
呑み鉄たこちゃんの窓口は鉄道好きそうな男性の駅員さんで申込用紙を見た瞬間、時計を確認して迅速に入力して時報を聞きながら見事に取ってくれました。
ところが妻の行った窓口は若い女性の駅員で、呑み鉄たこちゃんが支払いを終えて行ってみると未だに分厚いマニュアルを見ながら端末を操作できず、戦わずして負けていた状態でした。「あちらの窓口で取れたのでもういいです。」と言って撤収しましたが、もし1人で気合を入れて並んでいてこれだったら悔しいでしょう。
②駅員のやる気?
「はなあかりS」を狙って’10時打ち’を申し込みましたが、時報ではなく自身の腕時計を見ながら端末を操作していて、「ダメだろうな・・・」と思いながら待ちましたが、やはりダメでした。
あと、憶測ですが鉄道ファンを快く思っていないとか、態度の悪い客にわざと1秒遅く打つ?のようなこともあるかも知れません。なので駅員さんには決して横柄な態度を取らず、丁寧に接することをお勧めします。
③他の客に邪魔される!
窓口と改札口を1人の駅員さんが兼務しているような駅の場合、他の客の乗り越し精算のような作業が入って10時ちょうどに打てないリスクがあります。
「はまなすカーペット」を申し込んだとき、まさにこれで2~3秒遅れて慌てて打ってくれましたがやはりダメでした。忙しいなか一生懸命やろうと気にかけてくれていたのがわかったので仕方ないと思います。
こういう時、嫌味の1つでも言いたくなる気持ちはわかりますが、嫌味を言っても取れる訳ではなく、むしろ嫌な客だと記憶されたり’10時打ち’お断りの窓口が増えるリスクの方が高く得策ではありません。取れなくてもお礼を言ってスマートに立ち去る方が今後の事を考えるとメリットが大きいと考えます。
対策は口数を増やすしかない!
’10時打ち’は努力したからと言って必ずしも報われるわけではなく「運」による要素が大きいのです。
人気の高い列車や個室を確保するためには口数を増やして確率を高くするしかありません。
- 家族や友人に頼んでできるだけ多くの窓口で’10時打ち’をしてもらう!
- 受け取りが10時でなくても遅い時刻でよい駅があればハシゴして複数の駅で申し込む!
1人で複数の駅へ申し込むことに対して批判もあるとは思いますが、駅員のスキル不足で戦わずして負けるようなリスクを考えればやむを得ないと考えます。
もし必要枚数以上確保できた場合は、一旦購入したうえで早めに他の駅や精算所でキャンセル(又は乗車変更)して必要な人が予約できるよう配慮したいものですね。
’10時打ち’で負けても諦めるな!
’10時打ち’に負けても、ネット予約「e5489」で粘り強く検索すれば、かなりの確率で予約できるでしょう。「e5489」の存在価値はキャンセル狙いにあると言っても過言ではありません。
航空会社や一部のフェリー会社等では満席の時に「キャンセル待ち」を登録しておけば、キャンセルが出た時にシステム上で自動的に確保して貰えますが、JRには「キャンセル待ち」の制度はありません。何度もネットで検索するか、窓口で見てもらい、誰かがキャンセルした席を自分で探す必要があります。
「e5489」で検索すると10時直後に一旦満席になっても夕方ぐらいまでちょこちょこと空席が発生することがあります。複数枚取れた人が取り消したり、指定の時刻までに受け取りに来なかったりがあるのでしょう。
それ以降も乗車日まで粘り強く観察していくとシングルかソロならかなりの確率で落ちてきます。シングルデラックスやサンライズツインのキャンセルも時々見かけます。
また、乗車日直前の「ある日」の「ある時刻」に予備席のような席が開放される場合があります。粘り強く検索すればこれを拾える場合もあるでしょう。
まとめ:’10時打ち’を旅の一単位として楽しもう!
人気の寝台特急「サンライズ出雲」の個室を予約するためにはネット予約ではなく、みどりの窓口(JR東海ではJR全線きっぷうりば)’10時打ち’が有利です。
’10時打ち’の方法は駅や会社によって異なり、窓口の閉鎖や’10時打ち’を断る窓口が増えていて厳しい環境となりつつあります。’10時打ち’ができる駅を探して作戦を考えるところがスタート地点です。
可能であれば複数の駅をハシゴする、友人や家族に協力してもらう等、口数を増やす事も検討しましょう。
’10時打ち’で負けてもインターネット予約「e5489」で粘り強く検索したら、シングルやソロならかなりの確率で取れます。あきらめない事が重要です。
’10時打ち’は抽選のようなものであり、それ自体を旅の一単位、イベントに参加するぐらいの気持ちで臨むほうが楽しめるのではないでしょうか。様々な困難を乗り越えて運よく希望のきっぷが取れたときの喜びは格別です。