ロマンスカーの展望席を9000回以上、架空予約していた男が書類送検されたとの報道を見た。小田急電鉄の予約システムでは座席番号を指定して予約しても8日間、最大で発車15分前まで決済、購入しなくても座席がキープされる「甘さ」につけこまれた事件である。当方はロマンスカー展望席の最前列に1度だけ乗ったことがあるが、とても楽しかったと記憶している。常識を逸脱する回数の架空予約は本当に展望席に乗りたかった人たちにとっては迷惑行為、小田急電鉄にとっては人気の高い展望席の販売機会を奪われ、大きな損害となったであろう。
鉄道のネット予約は航空会社のそれと比べてルールが「甘い」。たとえばJR東日本の「えきねっと」では「お先にトクだ値」のような割安な商品であってもJR東日本とJR北海道の列車へなら3か月間何度でも変更可能、キャンセルする場合の手数料もわずか320円ですむ。航空会社に比べて「日常の足」である鉄道での移動には変更やキャンセルが多く、あえて「甘い」ルールにして利用者側の利便性を高めているのだと推察する。そして窓口でのきっぷの販売を少なくしていこうという鉄道会社側の展望が見え隠れする。
当方は出張の帰り等で乗る列車が確定できない場合、乗る可能性のある複数の列車を「お先にトクだ値」等で購入しておき、乗る列車が確定してから不要になった予約を日常利用している快速エアポート等の列車へ変更したり320円払ってキャンセルしてお得に利用させてもらっている。人気のあるSLや観光列車でも仕事で行けないかも知れないけど、休みが確定してからでは取れなくなるのでとりあえずの予約を行うこともある。「えきねっと」やJRのルールを熟知してルールの範囲内で、もちろん決済も行ったうえで複数列車の予約を行っており、それは「工夫」だと認識しているが、この行為も社会的には非難される行為なのだろうか?どこまでが「工夫」でどこからが「悪質」なのか線引きが極めて困難である。ネット上のコメントを読むととりあえずの予約やキャンセルに対して否定的な意見が目立つが好き好んでキャンセルしているわけではない。一旦予約したら確実に乗車できるような暇な方がうらやましく思う。
個人的には近鉄特急のネット予約が変更は3回まで、決済を伴わない予約のみではシートマップで好みの座席の指定ができない等、利用者側の利便性と架空予約や悪用防止の絶妙なラインを突いているのではないかと思う。今後はロマンスカーの展望席やSLのように人気の高い座席や列車にはキャンセルや変更への制限を強化する等の対策が必要になるのではないだろうか。